【インタビュー】千羽黒乃、解説席から対局卓へ! 「雀魂杯」の6年とALL LASTへの想い

2020年の初回大会からMC・解説として「雀魂杯」を見守り続けてきたVTuberであり、そして『雀魂』の最上位レベルの魂天でもある千羽黒乃さん。これまで学生たちから師匠として慕われ、数々の名勝負と若き雀士たちの飛躍を見届けてきました。
そんな千羽さんが、3月28日(土)に開催される「雀魂杯 学生麻雀選手権 2025-2026」ALL LASTでは実況席を離れ、一選手として卓につきます。
役満が役満を呼んだ伝説の一局、年々レベルを上げる学生雀士たちへの眼差し、そしてチーム戦に臨む一人の雀士として、また大人として学生と対局することで何を伝えようとしているのか。
今回のYostar Plusでは、学生への想いを胸にALL LASTの舞台へと向かう千羽さんに、大会への思い入れと本番への意気込みを伺いました。
ぜひご覧ください!
役満を役満で返した忘れられない「雀魂杯」の名場面

――:千羽さんは2020年から雀魂杯にMCや解説として出演しています。2026年の今、この6年間で大会や学生さんたちに対して感じた変化はありますか?
まず、毎年『雀魂杯』のMCやゲストに呼んでくださって、本当にありがとうございます。学生麻雀選手権や雀魂杯は、学生とは思えないくらいレベルが高く、対局を通じて選手たちの真剣さがひしひしと伝わってくるすごく熱い大会で、儂も毎回とても楽しみに出演させてもらっているのじゃ。
2020年から今に至るまで、どんどん参加者も増えていって、2024-2025シーズンからはU-18部門が新設されたりと、麻雀の競技人口が広がっていくのを肌で感じておる。それに明科瑞希プロや石井湖虎プロのように学生麻雀から、プロになる選手も出てきておるから「あの頃はまだ学生だったのに、立派になったなぁ」なんて、親戚の子どもを見守るおばあちゃんみたいな気持ちになるのじゃ(笑)。
年々スポンサーさんの規模も大きくなってきておるじゃろ?
この前も新宿西口の京王モール内にある「KEIO eSTATION Shinjuku powered by DiCE」さんに行ったんじゃ。そうしたら店内の大きなモニターに学生麻雀大会の中継が映し出され、綱川プロや儂の声が店内に響いておった。それを見た時、儂は、とても感激したのじゃ。
――:運営である学生麻雀連盟に共感してくれて、規模もどんどん大きくなっていますね。
そうなんじゃよ。将来的には、学生麻雀選手権が高校野球の甲子園みたいに、都道府県の代表を決めて、夏休みにテレビで中継される。そんなふうに、雀士たちが子どもたちの憧れになってくれたら嬉しいって思っているのじゃ。
――:大会を見てきた中で、思わず声が出た名場面や、特に印象に残っている対局はありますか?
儂が初めてMCとして出演したのが、2020年12月に開催された「雀魂杯オンライン学生麻雀カーニバル2020 西場」なのじゃ。この大会には、当時まだ大学生だった明科プロが選手として出場しておった。
その時のルールは半荘戦1回勝負、1位を取った人が優勝という条件だったのじゃが、その対局の第4局で、親の明科プロが国士無双を出アガりして4万8000点を加え、トップに立った。その時点で明科プロの持ち点が76400点、2位のhasetomo選手が41200点、その差が35200点とかなり厳しい展開になって、儂や解説の山田独歩プロも「まだまだチャンスはありますよ」なんて言いつつ、儂は内心ではだいぶ厳しくなったと感じておった。
――:この点差を覆すのはかなり困難な状況ですね。
ところが、ここから事件が起きたのじゃよ。オーラスで2着だったhasetomo選手に国士無双の聴牌が入った。ただ、三倍満ツモ条件で、出アガりでは優勝に届かないから、一萬単騎待ちをしたのじゃ。そんな中、一萬が他の選手からどんどん切られるんじゃが、hasetomo選手はアガらない。
この大舞台で国士無双の聴牌をしたら、記念としてアガる人もおるじゃろう。でもhasetomo選手は、勝利を求めてそれを一瞬でスルーした。しかも2枚目の一萬もスルーしたんじゃ。「優勝に届かない役満なんかいらない」とでも言うかのようなその胆力で、最後は降りていた明科プロへの直撃で逆転優勝を決めたのじゃ。
――:あの試合は役満を役満で返す、劇的すぎる展開でした。
そうなのじゃ。気がついたら実況・解説の儂たちも手に汗握って叫んでおった。そんなすごい試合じゃった。対局後のインタビューで喜びを爆発させるhasetomo選手の姿を見て、「麻雀ってこんなに人を生き生きさせる、感情を揺さぶる素晴らしいものなんだ」って心から思ったんじゃよ。そして、この役満放銃の経験が、現在プロとして活躍する明科プロの原動力の一つにもなっていると思ったんじゃ。勝っても負けても得るものがある。それが学生麻雀の凄いところだと感じておるんじゃ。
――:以前、明科プロとその話をしたことがあって、「雀魂杯での敗戦が悔しくて、より一層麻雀に打ち込んだり、心強い仲間ができた」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。明科プロのように、大会での経験がその後の人生を変えることもある。ただその一方で、実は出場を迷っている学生さんも結構いるんです。私は仕事がら学生さんとお話することが多々あるんですが「雀魂はやってるけど、大会はちょっと……」と言う場面に何度も出会っています。
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もったいない。迷っているくらいなら、ぜひぜひ参加して欲しいのじゃ。
儂が配信や戦術記事の中でよく使う考え方に「期待値がプラスかマイナスか」というのがあるんじゃが、例えば、平和(ピンフ)のドラ1はダマにするかリーチにするかというものじゃ。実際に期待値を比較するとリーチが超プラスだから、リーチがお得じゃろう?
その考え方でいくと、雀魂杯に出場することの期待値ってめちゃめちゃプラスなのじゃ。まず参加費が無料じゃし、参加することで、同じ志を持った学生雀士たちと切磋琢磨し合えて、真剣勝負ができる。勝ち上がれば賞品がもらえたり、プロと対局ができるかもしれないじゃろ。投資はゼロなのに、リターンはすごく大きい。勝っても負けても、得られるものは必ずある。そう考えると、平和(ピンフ)ドラ1以上に「超リーチ」って思うのじゃ。
自分が学生の頃にこんな素敵な大会があったら、絶対に参加していたので、今の学生がちょっと羨ましいくらい。だからそんな大会を最大限に活かして欲しいと思っているのじゃ。
選手として卓につく、ALL LASTへの想い

――:今回のALL LASTでは、実況や解説といった見守るポジションではなく、千羽さんが選手として出場されます。オファーを受けた時の率直な気持ちと、今の心境を教えてください。
すごく嬉しいし、ワクワクしているのじゃ。
観戦を通じて、毎年学生麻雀のレベルがどんどん上がっているのを実感しておる。ただ、実際に学生の方と卓を共にした経験はないので、同じ目線で対局した時にどう感じるのか、一人の雀士、一人の麻雀ファンとしてすごく楽しみなのじゃ。
学生の皆にとっても、儂にとっても、お互いに新しいページが生まれると思うし、その経験がお互いを成長させてくれるんじゃないかなと。儂は自分の麻雀を「昭和」とか「平成」なんて言うこともあるんじゃが、それが令和の学生雀士たちと対局した時に、どんな化学反応が生まれるのか。それがとても楽しみなんじゃ。
――:千羽さんの著書を拝読したり、麻雀を打っているのを見たりするんですが、年を追うごとに打ち方が変化しているように感じました。時代に合わせて変えているのか、あるいは何かきっかけがあったのでしょうか。
これは、儂の麻雀の勉強法によるところが大きいのじゃ。今の人は、YouTubeや戦術書で勉強して「こういう打ち方がいいんだな」と学んでおると思うが、儂の頃はまだそういった戦術書や統計データがあまりなかったんじゃ。
ではどうやってバランスを探っていたかというと、「どれくらい鳴いたらいいか、わからない」と思ったら、とにかく全部鳴く麻雀を100試合やってみる。
「これくらいなら鳴いていいのか、これは鳴きすぎか」という肌感覚を掴む。次は「リーチに対してどれくらい押すべきか」で、全部押す麻雀を100試合、全部降りる麻雀を100試合……という具合に、数を打って試行錯誤しながらちょうどいいバランスを探ってきたのじゃ。
だから、自分の麻雀を変えることにあまり抵抗がない。その時その時で最適なバランスを探っている意識を常に持っているのじゃ。
――:その根底にあるのは「もっと強くなりたい」という想いでしょうか。
麻雀の楽しみって、正解が一つではないところにもあると思っているのじゃ。例えば麻雀の歴史を振り返ると、昔は平和(ピンフ)のみはダマテンと言われていた。それが平成になって「一発や裏ドラがあるからリーチがお得」という戦術が生まれて、さらに令和になると「テンパイの形や仕掛けによってはダマもあるんじゃない?」と一周回ったりして、少しずつ変わっていったのじゃ。
強くなるためには、そういった新しい戦術を柔軟に取り入れて、自分の麻雀がどんどん変わっていくのを楽しめることが大事。それもまた、麻雀の楽しみ方の一つであり、強くなるコツなんじゃないかなと思っているのじゃ。
チーム戦の難しさと、牌に込める想い

――:ALL LASTはチーム戦ですが、麻雀の打ち方は変わりますか?
ALL LASTはチーム戦じゃが、打ち方自体を大きく変えるつもりはないのじゃ。儂の麻雀は、良い待ち・高打点の手作りからリーチをかけ、後手に回れば無理せずしっかり降りる、バランスを意識した教科書的なスタイルだと思っているのじゃ。本番でもその麻雀を貫くつもりではおる。
ただ、最終戦では着順計算から見逃しの判断が必要になる場面もあり、実際に目標設定はルールの詳細が発表されてから考えることは出てきそうじゃな。
――:VTuberチームとしての特徴や、チーム戦ならではの意識はありますか?
VTuberチームの咲乃もこさん、朝陽にいなさん、鴨神にゅうさんというメンバーじゃ。一言で言えば「安心感がすごい!」のじゃ。長年、個人VTuberとして麻雀と向き合ってきた者同士、それぞれが出せるベストを出していければ、いい結果に繋がると思っておる。
ただ「みんなの期待を背負っている」という意識は、普段との大きな違いになるのじゃ。個人戦なら気軽に押せる牌でも、「放銃したらチームのみんなが負けてしまう」と思って押せなくなったり、逆に「チームのために稼がないと」という気持ちが空回りしたり……。でも、チームを背負っているからこそ普段以上に集中できる面もあり、チームの存在をいかにプラスにできるかが鍵になると思うのじゃ。
――:千羽さんほどの経験者でも、チーム戦で葛藤に引きずられることはあるんでしょうか?
もちろんじゃ。儂は長年、個人配信ばかりやってきておるし、VTuberになる前は雀荘のメンバーで、まさに個人の戦いをしておった。ありがたいことに神域リーグや魂天リーグなどに出させていただいているのじゃが、いま対局を振り返るとスコアに引っ張られて降りすぎたシーンがあった、と思うこともあるのじゃ。
儂は麻雀経験自体は長いけれど、チーム戦で自分の麻雀がブレた経験は少なからずある。そこを克服して、本番ではチームの存在をプラスにしながら打てればいいなと思っているのじゃ。
――:今回は勝ちにいく気持ちと、お祭りを楽しむ気持ち、どちらが強いですか?
勝ちたいという気持ちはもちろんある。ただこのALL LASTは、学生たちにとっても儂たちにとっても、一生に一度の思い出になると思うのじゃ。一緒に打った牌譜は永遠に残るじゃろ?
だから終わった後に「この牌譜は宝物だな」と思ってもらえるような、数年経っても見返したくなるような、そんな対局にしたいと思っておる。
そのために大事なのは、牌に気持ちを乗せて、牌からでも意思が伝わるような麻雀を打つことなのじゃ。例えば字牌が2つあったとしても、どちらを切ればどういうメリットがあるか、一打一打のメリットとデメリットを丁寧に比較して打つ。派手さはなくとも、丁寧な麻雀を心がけたいのじゃ。
儂の好きな言葉に「神は細部に宿る」という建築関係の言葉がある。一打一打に気を使って、あとで振り返った時に「千羽さんはこういう考えでこれを切ったんだ」と、儂の経験が伝わるように打っていきたいのじゃ。
――:これまでも大会に出場する学生さんの中には、千羽さんを師匠として慕っている選手、千羽さんの配信を見て麻雀を始めた選手が何人もいました。特に「雀魂杯 学生麻雀選手権 2025-2026 南場 決勝」で優勝し、ALL LASTにも出場するカフ選手もその一人です。千羽さんの動画を見て学んだという選手たちとの対決も楽しみにしています。
それはとても嬉しいのじゃ。カフ選手は、儂がXのハッシュタグで麻雀の質問を募集すると、「これはリーチでしたか?」「あれは降りでしたか?」と本当によく質問してくれるのじゃよ。
雀魂杯でも「これはカフ選手ならリーチする」と思うシーンなどは、実際に儂が打っているかのような麻雀で、見ていてすごく嬉しかったのじゃ。
――:カフ選手は南場の大会を圧倒的な強さで優勝。千羽さんの「儂ならこうする」を見事に実践していき勝利しました。こういった繋がりの中で、麻雀が強くなっていくんだなと感じた瞬間です。続いて、もう一つの対戦相手であるプロ雀士チーム、朝倉康心プロ、麻宮あかねプロ、多井隆晴プロ、綱川隆晃プロについて、それぞれの印象を教えていただけますか?
朝倉プロの雀風は一言で言うと「難解」。ぱっと見ただけでは意図が汲み取りづらい1打でも、その考えを読み解いていくと朝倉プロの深い思考にたどり着く、抽象画のような麻雀と思っているのじゃ。また、朝倉プロのプロリーグ戦の解説をよく拝見しているのじゃ。あまり断定的な言い方をせず、「それぞれのメリットがあり、選手はどちらを選ぶのでしょうか」と、両方の選択肢を提示した上で打牌を汲み取る、あの優しい解説がすごく好きじゃ。そして朝倉プロ自身がプロリーグで対局した際のインタビューでも「結果的にうまくいきましたけど、本当に正解だったのか控室に戻ってチームメイトと検討したい」と、結果よりも過程の正しさを重視している姿勢に惹かれるのじゃ。
麻宮プロについては、過去にスリアロチャンネル様の番組「麻雀ミリオネア」で同卓したことがあるのじゃ。その時に受けた印象は、100人おったら99人が鳴くような役牌であっても鳴かない、超門前派という印象じゃった。「麻雀ミリオネア」の対局では自風牌をスルーしての小四喜聴牌といったシーンもあり、アガった時の打点力がとにかく恐ろしい打ち手なのじゃ。女性プロ初の魂天到達者でもあり、VTuber”日和りん”さんとしても活動されている多彩な方なのじゃ。
多井プロは、少し前まではすごくシビアに安全牌を抱える打ち方をしていて、後手に回った時にしっかりベタオリをする、遠い鳴きをあまりしないイメージだったのじゃ。でも最近は鳴きを増やしたり、自分の麻雀をどんどんブラッシュアップしているという印象を強くもっているのじゃ。プロリーグ戦の最前線で戦い続けていることもあり、その進化には本当に驚かされるのじゃ。
綱川プロとは、すごく交流があるのじゃ。学生麻雀大会で綱川プロが解説、儂がMCという形で共演することも多く、同じ格闘ゲームをプレイしていることもあって話題にも事欠かないのじゃ。先日の雀魂杯北場U-18では、綱川プロが儂のダジャレを自身のネタであるかのように堂々と使っておったので、思わず「それ、儂のネタじゃろ」と心のなかで突っ込みを入れてしまった(笑)。これまで学生麻雀をずっと見守ってきておるし、儂とも一緒にやってきた時間が長い分、信頼も厚いのじゃ。
ただ実況解説で話す機会は多いんじゃが、実際に卓を囲んだり観戦したことは意外と多くないんじゃよ。以前、「麻雀ミリオネア」で解説をさせていただいたときは、遠くからでも仕掛けて一色手を狙うシーンが多く見受けられたのじゃ。打点意識と守備力を兼ね備えた打ち手という印象を持っているのじゃ。
――:リスペクトに溢れていますね。プロ雀士チームにメッセージを送るとすればどのようなものになりますか?
儂たちは学生からすると、かなり大人世代になると思うのじゃ。だからこそ、責任は重大だと思っておる。ちょっと緩い麻雀をしてしまうと「なんだ、大人ってこんなもんか」と思われてしまうかもしれない。学生に「麻雀って奥深いんだ」「まだまだ知らないことがいっぱいあるんだ」「もっと頑張ろう」と思ってもらえるような、超えるべき壁であり続けたい。そんな麻雀を打ちたい。だから「お互い勝とうぜー」って伝えたいのじゃ。

――:最後に、ALL LASTを見届ける視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
今回の雀魂杯ALL LAST、学生麻雀選手権から始まったこの大会も、新たな試みとして、学生代表・ゲストプロ雀士、ゲストVTuberの真剣勝負が実現したのじゃ。これまでにない挑戦ということで、どんな戦いが生まれるのか、おそらく参加者の誰もが予想できないドラマが待っているはずじゃろう。
麻雀の歴史に新しいページが刻まれる瞬間を、ぜひ一緒に見届けてくれると嬉しいのじゃ!
――:ありがとうございました!
3月28日(土)に、ついに各大会の優勝者がチームとなってプロチームとVTuberチームに挑む「雀魂杯 学生麻雀選手権 2025-2026」ALL LASTが実施されます。
出場するのは4チーム。
雀魂杯優勝者チームはsrelee選手(東京大学)、カフ選手(静岡大学)、瞑茶選手(徳島大学)、genbu_選手(京都大学)。
雀魂杯U-18優勝者チームはれいんえふ選手(中央高等学院)、黒石かなで選手(大阪府立鳳高等学校)、セレンガ選手(東京都立保谷高等学校)、おしゅし818選手(弥富市立弥富中学校)。
そして朝倉康心プロ、麻宮あかねプロ、多井隆晴プロ、綱川隆晃プロのゲストプロチーム。
朝陽にいなさん・鴨神にゅうさん、咲乃もこさん、千羽黒乃さんのゲストVTuberチームが激突します。
この特別な一戦をぜひご覧ください!

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