「雀魂杯」での悔しさが雀士としての糧に 明科瑞希プロに聞く、学生麻雀大会で得た経験とは?『雀魂』の学生向けの取り組みについてもお届け
『雀魂』では、「雀魂杯」や「雀魂学生麻雀リーグ」など、学生向けの麻雀大会に継続的に取り組んでいます。
ともに開始してまだ数年の大会ですが、その参加者の中には、すでにプロ雀士になった人たちが居ます。その1人が明科瑞希プロです。2023年に「麻雀が知的ゲームである認識を広め、麻雀の地位向上につなげる」をミッションにした麻雀関連の企業に就職。同年8月に、日本プロ麻雀協会22期後期のプロテストに合格しました。
さらにはプロ雀士となりわずか4ヶ月後に行われた「雀魂インビテーショナル 2023-冬」では、Mリーガー以外の出場者として初優勝。この栄冠を勝ち取ったこの若きプロ雀士は、勝利者インタビューにおいて、その結果に声が上ずり、涙もこぼれました。
しかもその勝利の裏側には『雀魂』の学生大会への経験があったからこそだと語ります。
今回のYostar Plusでは、学生麻雀や『雀魂』に関連した学生大会の経験を経てプロ雀士となり、学生向けの「雀魂杯」や「雀魂学生麻雀リーグ」といった麻雀大会の運営にも携わる明科瑞希プロのインタビューや、『雀魂』を通した学生向け支援についてお伝えいたします。
学生向けの大会「雀魂杯」などの経験が原動力に。
大会をより身近で、より憧れる舞台にしたい(明科瑞希プロ)
――:明科瑞希プロ、本日は学生麻雀への取り組みについて聞きに来ました。よろしくお願いいたします。幼少期から麻雀に触れていたとお聞きしましたが、何歳の時からでしょうか。家族全員が麻雀を打つともお聞きしています。
よろしくお願いします。家は麻雀一家で、父、母、祖母、妹の全員が麻雀を打てます。両親によると僕自身も4歳の頃から牌に触れていたようです。そんな環境で育っているので、麻雀はいつも身近にありました。
――:大学時代に「雀魂杯」と「雀魂学生麻雀リーグ」に出場されていましたね。
大学生時代に『雀魂』の名前を冠したイベントの開催を聞きつけて参加しました。「雀魂杯」では「雀魂杯 オンライン学生麻雀カーニバル 2020西場」で初めて決勝に進出しています。途中で国士無双でアガって優勝を確信するも、同じ半荘のオーラスに国士無双を放銃したことで優勝を逃し、準優勝に終わりました。いま振り返ってみても伝説回だったと思います。これがあまりにも悔しくて、腕を上げねばと段位戦を打ち込む日々が始まりました。
――:大会での敗北が麻雀との向き合い方を大きく変えたと。
そうなんです。それまでは心のどこかで「自分は麻雀長くやっているし、強い方なのでは」という漠然とした自信を持っていました。ただ今では、あのタイミングでへし折ってもらえて良かったなと思っています。
――:その後「雀魂杯学生麻雀カーニバル2022東場」でも決勝に進出していました。
これも貴重な経験でした。今大会から「雀魂杯」は、スタジオに集まり対面での対局になりました。対面形式ということもありかなり意気込んでいたんですが……。
――:思ったようにはいかなかった様子でした。
初の対面形式ということで意気込んでいましたが、オンラインとは全く違う緊張感で手出し・ツモ切りすら追えず、不甲斐ない内容で4位に終わりました。多くの人に見られている中で、対戦相手が目の前にいて、憧れのプロ雀士に解説してもらい、応援してくれる人の期待を背負いながら戦う……。そんな環境で打つ麻雀は想像以上に難しく、再び悔しい思いをしました。
ただ怪我の功名というわけではないんですが、「雀魂杯」や「雀魂学生麻雀リーグ」に出場したことで、仲間に出会いました。「雀魂杯」で負けた際に、出場していた岡山大学麻雀サークルや島根大学麻雀研究会の面々が「一緒に強くなろう」と励ましてくれて、僕の高校の同期を加えたDiscordサーバーを設立してくれたんです。Discordでは、夜な夜な通話をして牌譜検討を繰り返しという感じです。交友関係は今も続いていて、「雀魂杯」に出ていなければ無かった縁かもしれません。
「雀魂学生麻雀リーグ」でも決勝で敗北を喫し準優勝だったのですが、この時の優勝チームの1人と意気投合して、「学生主体のリーグ戦を開催しよう」なんて話をしていたんです。
――:なぜ学生主体のリーグ戦を開催しようと思った理由が気になります。
当時から学生麻雀そのものを盛り上げていきたいという想いが強くありました。そこでDiscordサーバーのメンバーにも協力を仰ぎ、「雀魂Sリーグ」と題して企画し、学生麻雀連盟とYostarさんに企画書を送ったんです。快くOKしてもらって開催に至りました。
初めて大会運営を経験したのですが、このことが進路に大きな影響を与えています。
――:詳しくお聞きしたいです。
「雀魂Sリーグ」を企画して運営を行ったところ、現職(麻雀王国)からインターンの誘いがあったからです。在学中も1年半に渡ってインターンを続けているうちに、麻雀業界で働きたい、学生麻雀を普及させて、”とある漫画作品”(※)のような世界を実現させたい、という想いが強くなっていったんです。その後、多くの人の助けもあって麻雀王国への就職に至りました。会社には感謝の気持ちでいっぱいです。
(※)主人公の女子高生が大会などを通して麻雀の腕を競い合う作品。同作品では麻雀が世間に幅広く普及している様子が見られる。
――:目標があって突き進んでいったら、道が開けていった。その流れもあって、2023年は日本プロ麻雀協会にプロテストに合格しています。さらにMリーガーも参加している「雀魂インビテーショナル2023冬」に参加し、優勝を勝ち取りました。また学生麻雀連盟副理事長に就任するなど、自身にとって飛躍の年でもあると思いますが、振り返っていかがですか。
まずプロテストの合格に関しては「ようやくスタートラインに立てたな」というのが正直な気持ちでした。その一方で『雀魂』と学生麻雀出身のプロとしてここまで導いてくださった師、最前線で活躍している先輩方、学生麻雀を通して知り合った同年代の強者、いずれやってくる才能に溢れた後輩、そういった人達と今後何十年に渡って戦い続ける資格を得られたことが嬉しかったです。
――:プロテストに関しては夢だったというより、スタートラインなんですね。合格してから目線が変わった部分はありますか?
先にもお話したように小中高生が当たり前のように麻雀を打ち、地方予選から全国大会まで大規模に開催されている”とある漫画作品”の世界を目指しています。その目標に対してできることの幅が広がったという意味で目線が変わりました。
麻雀王国では麻雀業界発展の貢献ができます。プロとしての活動では、『雀魂』と学生麻雀出身のプロというモデルケースを作り、より若い子達へ道を示したいと思っています。それぞれのルートから目標の実現を目指せるという意味で幅が広がりました。
――:プロになったことや、その中でも魂天の最上位ということもあってか「雀魂インビテーショナル2023冬」への道も開かれました。
「雀魂インビテーショナル」は2021年夏の第1回から欠かさず視聴していて、「もし自分がこの舞台に立てたら何をしたいか」をずっと考えているくらい憧れの舞台でもありました。そんな舞台にプロ入り4ヶ月で立たせていただけたこと、本当に感謝してもしきれないです。
「フリップ芸」含め当日までにあらゆる準備を施して挑みましたが、いざ1回戦本番を迎えると卓には村上淳プロ、朝倉康心プロ、松本吉弘プロの3人。
長年憧れていた先輩方との対決に全身が震えたものの、打ち始めてみると集中して自分の麻雀を貫くことができました。
この点については、「雀魂杯2022-2023東場決勝」で対面形式の対局経験を経ていたことが何よりも大きかったと思います。
「一生に一度かもしれないこの舞台を誰よりも楽しもう」そんな気持ちにさせてくれたのは「雀魂杯」の経験があったからこそでした。
準決勝では仲林圭プロ、渋川難波プロ、渡辺太プロと対戦、そして決勝では再戦となった村上プロ、仲林プロ、西乃うるりプロと対戦。今思い返しても「このメンバー相手にどうやって優勝したんだ」と自分に問いたくなります。大袈裟かもしれませんが、文字通り人生を変えた一日でした。
学生麻雀連盟副理事長の就任に関しては、「雀魂杯」「雀魂学生麻雀リーグ」といった学生大会でのディレクター業務を行っていたこともあって、お話をいただくことになりました。
――:「雀魂杯」や「雀魂学生麻雀リーグ」を主催している学生麻雀連盟ですが、その副理事長として、これらの大会の目標について教えてください。
大会は、学生にとって身近な存在かつ憧れの舞台であり続けることを目標にしています。かつての私がそうだったように、学生たちが大会を通して勝つことの楽しさ、負けることの悔しさ、仲間との出会いなど、何物にも代え難い経験を提供したいと思っています。
「雀魂杯」で言えば、参加者数は昨年度比214%を達成しました。「雀魂学生麻雀リーグ」では予選を廃止して新システムを導入したことで128チームが出場できるようになり、申込締切日までに満員御礼。今後も選手の意見を積極的に取り入れ、より身近でより憧れる舞台、そんな大会を作っていきたいです。
――:ありがとうございました。
学園祭への協力、「小学生麻雀教室」の開催で裾野を広げる
2024年より「雀魂 小学生麻雀教室」を開始しました。
「雀魂 小学生麻雀教室」はルールのわからない超初心者から、『雀魂』で雀豪を獲得者まで幅広い層が参加しています。大会形式ではなく「麻雀」の楽しさを知ってもらうことに注力しました。『雀魂』を通した説明はもちろんのこと、実際の麻雀牌に触れる機会も設けています。講師となるのは現役Mリーガーを含めたプロ雀士のみなさまです。
以前にレポートを記載しているので、あわせてご覧ください。
また学園祭への支援も行っています。先日は神奈川県にある岸根高校の文化祭に協力しました。同高校は、2024年に麻雀同好会を立ち上がるやいなや、多くの生徒が集まったそうです。その後、全自動雀卓の高校麻雀部支援プログラムにも応募し、無事に採択され着実に活動の幅を広げている同好会です。
麻雀に対し過去の悪いイメージを持っている層からは設立に際して、その活動に訝しむ声もあったそうです。ただMリーグや業界関係者が率先してイメージの改善に努めた結果が、同好会の設立健やかな活動を後押ししていることは間違いないでしょう。
岸根高校の麻雀同好会では、兼部も含めているとは言え、所属人数が二桁を超え、副顧問はボランティアを含め8人と活性化が著しい集団となりました。
先日の文化祭でもほぼ絶え間なく人が卓につき、両日合わせて300人近い来場者になり、当日Yostarが配布していたノベルティも全て配布しきりました。
その他今秋も様々な大学の協賛を行っております。
さて『雀魂』では、12月14日(土)に初の関西でリアルイベント「雀魂ファン感謝祭2024冬 in 大阪」を開催いたします。
・雀魂ファン感謝祭2024冬 in 大阪 https://mahjongsoul.com/fanfestival20241214Osaka/
また翌12月15日(日)には、こちらも関西初の「雀魂 小学生麻雀教室」を実施します。共に参加無料(※)です。共に関西での初イベントとなりますので、ぜひご参加ください!
※「雀魂 小学生麻雀教室」は募集人員を超えた場合、抽選となります。
・第3回 雀魂 小学生麻雀教室
https://mahjongsoul-school.com/
『雀魂』は多くの人にプレイしていただいています。様々なイベントはそんな『雀魂』を受け入れてくれた麻雀プレイヤーと麻雀業界への恩返しの意味も込めています。少しでもその裾野が広がり、業界活性化の一助になっていれば私達も嬉しく思います。