雀魂杯「2023-2024 南場」決勝は最後まで目が話せない展開に! 舞台裏を交えた当日の様子をレポート!
2023年7月16日に「雀魂杯 学生麻雀選手権 2023-2024南場」決勝が開催され、東京大学所属Smatsu選手の優勝で幕を閉じました。
同選手は2回戦〜4回戦までの勝ち続け優勝に片手をかけていたものの、ファイナルステージでSmatsu選手が精神旺盛選手の猛追を受け「あわや逆転なるか?」というところまで追い詰められます。
しかしそこで押し切られず踏ん張り、自身のリーチで勝利をものにしたのは優勝者が優勝者たる所以だったのではないでしょうか。
一方で試合後、解説を務めた綱川隆晃プロが語っていたように、「悪いところはなかった。学生とは思えない打ち筋。」と竜野選手を讃えます。そしてその言葉は、今回の決勝も決して一筋縄ではいかなかったことの証左と言えます。
本稿では決勝で見せた勝負師としての顔、休憩中にふと垣間見せる学生らしさなど、雀魂杯「2023-2024 南場」の試合とその舞台裏を交えてお届けします。
それぞれの選手から見る雀魂杯「2023-2024 南場」決勝
試合中も要所要所で笑顔見せていたSmatsu選手。麻雀歴は4年。高校の時に友人に誘われて『雀魂』をインストールしたことが、本格的に麻雀を打ち始めたきっかけだそう。
普段は大学に所属する運動系のサークル内で麻雀を打っているそうです。麻雀の打ち方は攻めや守りといったことに囚われず、状況に応じて良い手を打ちたいと自身のスタイルを語ります。予選は「やけに運が良かった」と謙虚な姿勢も印象的でした。
3人の中では試合前から一番リラックスしていたように見えた同選手も、試合開始直後は緊張した面持ちです。
ただ、その強張りも試合が進むにつれほぐれていき、特に2回戦目に勝利を勝ち取って以降、安心感も加わってか笑顔を見せることが増えてきます。
Smatsu選手はファイナルステージを含めた全5戦の中、2回戦〜4回戦で勝利するなど、その底力を見せました。タップミスで切る牌を誤った際にも思わず爆笑してしまうなど、余裕すらあったようにも見えます。
試合後のインタビューでは、MC・実況の咲乃もこさんから必ず「気持ちよかったですか?」と質問が飛ぶなど、傍目から見ても楽しく麻雀が打てていた様子がわかりました。
さすがにファイナルステージでの精神旺盛選手の猛追時には、表情が険しくなることも多かったものの、最後は自身のリーチから和了り、優勝をものにしました。
試合終了後のインタビューでは、「本当に嬉しい。1戦目と5戦目は苦しい展開でした。2から4戦目では運が来て気持ちよく打つことができました。元々の目標であった”攻めること”を実践できて良かったです。」と自身の試合を振り返ります。
綱川プロは「運の良さもあったけれど、運の良い時にちゃんと勝つのが麻雀では一番重要なこと。緊張やプレッシャーでいつもできることができなくなる。Smatsu選手は自身のテーマで打ち切り、勝つべくして勝った見事な優勝です。」と絶賛。木原プロからも「攻めの姿勢を忘れなかったことが、勝利に繋がった。素晴らしかった。」と続けます。
さらに咲乃もこさんからは、「冷やっとしたと思うけど、これまでリードを取っていたから優勝できた。リーチの選択もはまっていた。素晴らしかったです、おめでとうございます。」と祝福の声を掛けられていました。
なお優勝特典のエキシビジョンマッチでは、咲乃もこさん、木原プロらと勝負。優勝の喜びと緊張の解放、綱川プロ、木原プロ、咲乃もこさんらのユニークなやりとりも加わったことで終始笑顔の耐えない対局になりました。
(右)木原浩一プロ。エキシビジョンでは木原プロのその強さと、咲乃もこさんのエンターテイナーっぷりを見ることができます。
麻雀歴は4年ほど。
続いてご紹介するのは竜野選手。もともと麻雀自体に興味を持っていたところ、Vtuberが好きで「にじさんじ麻雀杯」を見て火がついたそうです。2年ほど前からリアルでも打つようになったと試合前のインタビューで語ってくれました。『雀魂』をプレイする傍らリアルな麻雀牌に触れてみたい欲が出てきたのだとか。
麻雀の学習については配信を見たり、自身の足りないところを書籍で追いかけたりしているそう。自身の打ち方については、四麻では攻めるスタイルではあるものの、三麻は勉強し始めたばかりのためバランスをとって打っていると自身を分析していました。
「今回の大会予選を通して実力が上がっていることを実感した」と、真剣勝負を通じて自身の成長を感じたそうです。
そんな竜野選手は1回戦で圧巻の強さを見せます。
こんなシチュエーションになれば、思わず笑顔がこぼれそうなもの。ですが、本人はいたってポーカーフェイス。和了っても表情が変わらず、軽く水を含むだけで対局に集中してる様子が印象的でした。
初戦の勢いは長く続かず。2戦目以降は、勝利を掴み取ることはできませんでした。
綱川プロは竜野選手について「悪いとこはなかった。大学生とは思えない上手な打ち筋。」と声を掛け、木原プロは「(竜野選手を)いっぱい褒めてるので、今日の配信を見直して欲しい。良い闘牌がいっぱいあった。」と激励。その実力がフロックではないことを、解説を務めた2人のプロが示しました。
これに対して竜野選手は「後悔はなく自分でできることは全部やり切れたと思う。これからも頑張っていきたい。」と応えます。
麻雀歴は3年目。
南場決勝では唯一の高校生雀士である精神旺盛選手。麻雀歴は3年目。麻雀を始めたきっかけは、Nintendo Switchでプレイし、その奥深さにハマったそう。普段はMリーグを鑑賞して学んでいるそうです。
自身の麻雀については、守りを基本としながらも、攻められる時は攻めるというメリハリをつけた打ち方をしているそゆうです。予選では6連敗しつつも、巻き返して南場決勝への出場を決めました。
決勝では1〜4回戦まで、ぽつぽつと和了りはするものの、なかなか勝ちをもぎ取れず、我慢を強いられる時間が長く続きました。ただそこは決勝進出者。
試合間のインタビューで
「初戦は緊張してミスもあった。2戦目はリラックスできた。逆転のチャンスはあるので頑張って行きたい。」
と力強いコメントを残しています。
ファイナルステージでは、これまでのうっぷんを晴らすかのように和了り続け、逆転優勝への道が見えてきます。
この勢いには、栄冠に片手をかけていたSmatsu選手の表情にも焦りの色が見え始め、運営スタッフも勝負の行方を固唾を呑んでその様子を見守ります。
しかし精神旺盛選手の快進撃も、あと一歩届きませんでした。
最後にSmatsu選手が自身で和了り、自身で試合を決めました。精神旺盛選手は、ファイナルステージで1位を獲得したもののこれまでの総合点では優勝に届かず、惜しくも2位でフィニッシュとなりました。
精神旺盛選手は、試合終了後のインタビューでは「攻めの姿勢があそこまで点数を積み上げられたと思う。1〜4戦目までは苦しかったけれど、自分の打ち筋を意識して打っていたので悔いはないです。」と自身の対局を振り返っていました。
綱川プロは「5戦目(ファイナルステージ)が目立ちますが、”逆転なるか?”とまで思わせたのは、これまで我慢して打ってきた結果が当ってこそ。全体を通して見ても、特定の場所が駄目だった部分はなかったです。」と健闘を称えていました。
木原プロは「惜しかったね」と感想を述べ「思わず出たガッツポーズに勝ちたい姿勢が見えた。受験もあるので、(麻雀に)あまりはまってはいけないけど、またプレイして大会に出てきて欲しい」とエールを送っていました。
配信では見られない決勝舞台裏の様子
ここからは、放送では見られない南場決勝の舞台裏の様子をお届けします。決戦の地はもはや恒例ともなった東京都内にあるYostarスタジオです。選手たちも配信前はさすがに緊張した面持ちで開始を待っていたものの、オープニングが開始すると少し落ち着いてきたのか、時折笑顔も見られました。
いよいよ南場決勝が開始。会場には複数のカメラが設置され、選手たちの一喜一憂する姿が見られます。
決勝戦の開始直後は真剣勝負の場ということに加え、勝負師として顔、さらには緊張も加わり表情は硬いまま進行していきます。
一方で試合の間の休憩時にハイライトを一緒に見てる様子は非常に和やかな様子。試合中とは異なりモニターを見つめる姿は学生の休み時間のような様子でした。
表彰式では、終始和やかな様子が見られます。
また解説陣では、綱川プロと木原プロの関係性も非常にユニークでした。エキシビションの際、”タッチパネルではない液晶”にタッチをして動かないと、訝しげな表情を見せる木原プロに対して「おじいちゃんが画面をポチポチしてる。」と綱川プロが爆笑します。この様子に咲乃もこさんは「ねー、何やってるのー!」と茶目っ気たっぷりにツッコミます。
「再発行したのにメールが届かない」とお困りの様子。
「迷惑メールフォルダじゃないですか?」と綱川プロ。
綱川プロ、正解でした。
エキシビジョンマッチでは対局に臨みエンターテイナーとしても、その腕を存分に発揮してくれました。
リハーサルでは「MC力が上がってきたのでは?」と実況・解説陣からお褒めの言葉出る場面も。
雀魂杯「2023-2024 南場」はそれぞれの選手に見せ場があり、若い雀士達が諦めずに打ち続けた結果によって生まれたドラマに大きく魅せられました。次回の雀魂杯は2023年10月に開催予定です。楽しみにしてお待ち下さい。
■雀魂杯「2023-2024 南場」
【出演者(敬称略)】
MC:咲乃もこ(Vtuber)
解説:綱川隆晃(日本プロ麻雀協会)
ゲスト:木原浩一(日本プロ麻雀協会)
司会:小田島愛(Yostar)
【出場者(敬称略)】
Smatsu(東京大学)
竜野(神奈川工科大学)
精神旺盛(東京学芸大学附属高等学校)