麻雀は世代を繋ぐ共通言語 勝敗の先の繋がりを見た「学生雀魂杯 第7期 南場」決勝レポート

オンライン麻雀ゲーム『雀魂-じゃんたま-』の協力のもと、一般社団法人「学生麻雀連盟」が主催する学生向け大会「学生雀魂杯」。昨年は全国から2000人を超える学生が参加。その第7期南場では、U-12・U-18・U-25からなる3部門の決勝戦が、8月3日(日)に一日を通して行われました。
今回の南場は、スピーディかつ打点が高くなりド派手な勝負になりやすい「三人麻雀」ルール。各部門を勝ち抜いた3名ずつ、計9名の精鋭が決勝の舞台で頂点を競いました。
本レポートでは、3部門それぞれの熱戦の模様をお届けします。
ぜひご覧ください!
【出演者(敬称略)】
MC:咲乃もこ
解説:綱川隆晃(最高位戦日本プロ麻雀協会)
ゲスト解説:村上淳(最高位戦日本プロ麻雀協会)
ゲスト:千羽黒乃
レポーター:梶梨沙子(最高位戦日本プロ麻雀協会)
U-12部門 ──しろまる0709選手が完全優勝

前回の東場から新設された、小学生対象のU-12部門。今回は3名による半荘一回の一発勝負という、超短期決戦で行われました。麻雀歴は2年、5年、3年半。小学生とは思えない年季の入った顔ぶれが揃いました。
◆出場選手
Yui_Kirby(小学5年生)
キング122(小学5年生)
しろまる0709(小学4年生)
また今回のU-12部門出場者は、いずれも過去にYostarが開催した「雀魂 小学生麻雀教室」の参加者でもあったことも注目ポイントでした。

今大会で圧倒的な強さを見せたのは、しろまる0709選手です。
同選手は、前回の「学生雀魂杯 第7期 東場」で決勝に進出しためんだこ0709選手の双子のお姉さん。姉妹が別々の大会で、それぞれ決勝の舞台に立ったことになります。解説陣からは「将来、双子のプロ雀士が誕生するかもしれない」という声も上がっていました。
対局は東1局の8000点のアガリから始まり、続く東2局では倍満を成就。「安い手でいっぱいアガりたい」とインタビューで語っていた本人の言葉とは裏腹に、三人麻雀特有の高打点が次々と決まり、序盤で一気に突き放しました。
その堂々たる打ち筋には、村上プロも「対局を通してアガる手順が間違ってなかった」と絶賛。特にトップ目で迎えた南1局2本場の白をポンしてイースーピン待ちでのツモに関しては「プロでも同じ手順を踏む、完璧」と最大級の賛辞を送りました。

終盤には点差が開きすぎ、役満でアガっても着順が動かない「役満不可」の条件が表示される「学生雀魂杯」でも珍しい展開に。実況・解説陣からも「文句のつけどころのない優勝」と評価されました。

インタビューの際のコメントもクールさをみせ、対局中はアガっても終始ポーカーフェイスだったしろまる0709選手。試合終了後、控室に戻った際には、お父さんとハイタッチをし、和らいだ表情を見せながら賞品の袋を覗き込むなど、対局中とは一転して年相応の無邪気な振舞いを見せていたことも印象的でした。

準優勝はYui_Kirby選手。親戚や母親の影響で麻雀を覚え、家では手積みで卓を囲むといいます。好きな役は緑一色(リューイーソー)。まだ自身ではその役でアガったことがないようで「緑一色でアガるのが夢です」と語り、大会への意気込みも「勝っても負けても最後まで麻雀を楽しみたい」というものでした。
その言葉どおり、序盤に放銃が続く苦しい立ち上がりでも表情は明るいまま。実況陣が「放銃したのに笑顔だった」と驚くほど、最後まで麻雀を楽しんでいる姿が印象的でした。見せ場はオーラス。着順が上がる条件を正確に把握し、リーチをかけずにダマテンに構えてアガり切り、3着から2着へと浮上。「(打点が)3900あるとわかっていないとダマにできない」と解説陣も舌を巻く冷静な判断でした。表彰式では「楽しく打てました」と振り返りつつ、「アガれたのは良かったけれど、(大会の結果に)納得はいかなかった」と悔しさものぞかせていました。

3位はキング122選手。父親がMリーグを見ていたことをきっかけに5歳から麻雀を始め、麻雀歴はすでに5年。「リーチされた時にベタ降りできた時が一番楽しい」と語る、小学生離れした渋い門前リーチ型の選手です。
決勝ではなかなか手が入らず、参加できる局面自体が限られる苦しい展開が続きました。それでも七索単騎(チーソータンキ)の七対子(チートイツ)でリーチを打つなど、持ち味は随所に発揮。この待ちは実際に山に残っており、あと一歩というところでした。表彰式では「リーチが好き、七対子も好き、ベタ降りも好き。僕と同じタイプなので絶対強くなる」と村上プロがエールを送り、綱川プロも「負けた方が強くなる。悔しさをバネにして、いずれ僕たちと同じ舞台で戦える日を楽しみに待っています」と語りかけていました。
U-18部門 ──当日朝に決まった出場。西脇選手が繰り上げからの戴冠

中学生・高校生が腕を競うU-18部門は半荘3回戦、得点圧縮なしの合計スコア勝負。この部門では、大会の数時間前に出場が決まった選手が優勝をさらうという、劇的な展開が待っていました。
◆出場選手
・ひろとk(八王子学園八王子中学校2年)
・西脇吐息(東海大学付属望星高等学校3年)
・konro_85(九州産業大学附属九州高等学校2年)

優勝した西脇選手は、当日朝の繰り上げ出場でした。出場予定だった選手が体調不良となり、連絡を受けたのが朝7時20分。二つ返事で参加を決め、この日行く予定だった長岡の花火大会をキャンセルして決戦の場に駆けつけました。「筒子(ピンズ)が花火みたいな形なので、アガったらたまやーと叫びたい」とコメントしていました。
麻雀歴は約1年。友人と話す手段が減ったことをきっかけに、コミュニケーションの場として麻雀を始めたといいます。スタイルは「テンパイしたら即リーチ」の門前型。「大きな声を上げてリーチするのが好き」と語る、わかりやすく攻撃的な打ち筋です。

1回戦は終盤までアガりなしの苦しい展開でしたが、オーラスに絶好の配牌を掴むと一発ツモの三倍満で一気にまくり逆転トップ。ここで渾身のガッツポーズと共に実況席や配信のコメントから「たまやー」の掛け声とメッセージが。
2回戦も裏ドラを乗せた跳満で連勝すると、その直後このアガリについて本人がインタビューで明かした事情が、この日いちばんのドラマでした。実は西脇選手、この決勝への進出をかけた本戦最後の一戦では、konro_85選手に裏ドラを乗せられたことで惜しくも敗退していたとのこと。「裏ドラでアガりたいという気持ちがあったので、借りを返せたのかなと思います」と突如転がってきたリベンジのチャンスを活かし、同じ形で見事返した格好となりました。

2回戦終了時点で2着以下と圧倒的な差をつけながら、西脇選手は3回戦の方針をこう宣言しました。「ここで逃げるのもあると思うんですけど、僕はこの立場に来れたことがすごく嬉しくて、その上で楽しんで帰りたい。逃げないと、ここで宣言しておきます」――そこから有言実行で、逃げの一手を使わないまま優勝を決めました。
村上プロは「なぜこんなに勝ったのかわかりました。一番麻雀を楽しんでいたし、気持ちが純粋でした」と、勝因を打牌ではなく姿勢に見出していました。また綱川プロは、西脇選手のベストプレーとして挙げたのは、3回戦南1局1本場で、二索(リャンソー)と一筒(イーピン)のシャンポン待ちから、出アガりとなった場面。「きついと思いながらも勇気を持って押した」と評価しました。
試合後のインタビューで西脇選手は「今まで麻雀を娯楽として、やってきました。ただ今回の決勝進出によって、麻雀友達が出来た。麻雀は人と人を繋ぐと思っています。麻雀という1つのことをみんなでやることが、大事だと実感しました。もちろん優勝も嬉しいです」とコメントし、目まぐるしい一日を締めくくりました。

準優勝は、決勝進出者で唯一の中学生・ひろとk選手。麻雀歴は4〜5年で、祖母の家で家族が打っているのを見て興味を持ち、麻雀セットを持ち帰って家族で始めたのがきっかけだといいます。学校に麻雀部がなく「優勝して部活を作り、みんなに教えたい」というのが出場前の目標でした。決勝が決まってからの約3週間は三人麻雀を集中的に練習してきたという「防御力低め攻撃型」を自称します。
1回戦は「手がガクガク震えていた」というほどの緊張の中でのスタート。それでも東1局からアガり、東3局2本場では山に1枚しか残っていない東でツモるなど、その地力を見せていました。「序盤の緊張はあったものの、局が進むにつれ、アガるところは卒無くアガっていた」と評し、今後への期待をそえたコメントをしていました。
惜しくも優勝は逃しましたが、綱川プロが「麻雀部は作らないの?」「いざとなったら八王子まで行きます。僕が先生と交渉しましょう」と全面協力を約束していました。
「優勝できずに悔しかったですが、自分らしい麻雀を打てて腕も上がったと思います。またこの舞台に戻ってきたい」と決意表明で締めくくりました。

前回東場のU-18部門を制し、連覇を狙って九州から決勝の場に乗り込んだのがkonro_85選手。前日から東京に入り、今回は観光もせずホテルに直行という臨戦態勢での参戦でした。
普段は四人麻雀が主戦場ですが、「今回は三麻なので勉強と練習をしてきた」といい、前回の東場で対々和(トイトイ)による逆転を経験してから「今は副露型」だと語っていました。
1回戦は跳満を含め的確にアガっていき2着発進。細かいアガりを積み重ねるスタイルについては、村上プロが「僕が切ったらいいなと思う牌をほとんど切っていた。数か所違ったけれど、ほぼ一緒。普通にレベルが高い」と絶賛していたことが後に明かされます。しかし2回戦以降は西脇選手の独走を止められず、結果は惜しくも3位にとどまりました。
表彰式では「連覇はできなかったんですけど、自分らしい麻雀を打てたと思うので良かったです」と落ち着いた表情。すでにゲーム内称号を持つ前回王者として、村上プロのお墨付きという新たな土産を手にして九州へ帰ることになりました。
U-25部門 ──419名の頂点。珍走選手が三倍満ツモで完全優勝

大学生・大学院生が腕を競うU-25部門には、3部門で最多となる419名がエントリー。予選・本選を勝ち抜いた3名による半荘3回戦は、序盤から一人の選手が抜け出す展開となりました。
◆出場選手
・珍走(岡山大学3年)
・Shionome(東北学院大学4年)
・tansita(千葉大学大学院1年)

優勝したのは、岡山から前泊で乗り込んだ珍走選手。「観光の予定はない」とこの一戦のためだけに上京してきた大学3年生です。麻雀歴は約5年で、勉強法は「プロの対局を見るだけ」。それでいて雀魂の三人麻雀では「雀聖3」に到達しており、解説陣も「かなりやり込んでいる」と唸る実力者でした。エントリー時のコメントは「麻雀人生の集大成」。意気込みには「見ている方々がワクワクするような麻雀を打ちたい」と掲げていました。

1回戦から飛ばす珍走選手。東1局にアガるとカメラ目線を決め、以降もアガリのたびに笑顔を向けるファンサービスぶり。「本当はめっちゃ緊張していて心拍数がすごかった」と後の表彰式で明かしましたが、画面からは終始リラックスして見えました。

そして2回戦の南3局0本場。「筒子(ピンズ)が重くて切れず、索子(ソウズ)を切るしかないと思っていた」という手牌から二盃口(リャンペーコー)をテンパイすると、最後に引き入れたのが赤五筒(アカウーピン)。ツモ・清一色(チンイツ)・二盃口・赤・ドラの12翻、三倍満のダマテンツモが炸裂し、トップ目との13800点差をひっくり返します。このラス1の赤を掴んだ上の清一色・二盃口には思わずMCの咲乃もこさんが「役満より珍しいのでは?」と漏らすほど。この状況に本人も「(牌が)あっても一つだと思っていた。その一つがなんと赤で、しかもツモれて」と、驚きを隠せない様子で振り返っていました。

3回戦は2着に終わったものの、勝負の大勢はすでに決しており、オーラスに残されていたのは「役満直撃」のみという完全優勝でした。
決勝の最中も終始笑顔だった珍走選手。笑顔を絶やさなかった理由については「尊敬する黒沢咲プロがいつも笑顔で打っているので、そういうところは大切にしています」とコメント。
最後は「今日一日、他の年代の麻雀を見ていて、麻雀の素晴らしさに改めて気づいた一日でした」と振り返り、「学生の麻雀も面白いんです」と締めくくりました。

準優勝はShionome選手。仙台から朝7時起きの新幹線で駆けつけ、翌日には大学の試験が控えているため日帰りという強行日程での参戦でした。麻雀歴は高校1年から数えて7年目。大学に麻雀を打つ友人がおらず、自分から誘って輪を広げているといいます。
1回戦はアガり1回・放銃0という守備的な内容ながら、その一度が実に見事でした。南1局0本場で、四索(スーソー)・八索(パーソー)のシャンポン。その状況から四索をツモらず、八索(パーソー)切りでフリテンリーチを敢行し、満貫を成就させるという、技ありの一局でした。これには実況解説陣からも拍手喝采が巻き起こりました。
さらに真骨頂は2回戦です。予選・本戦を通じて嶺上開花(リンシャンカイホー)で勝ち上がってきたという本人の言葉どおり、東3局1本場で北を抜いての嶺上開花を決め、しかも抜いた北が裏ドラになるという派手なアガリを披露。「予選も本戦も嶺上開花で勝ち上がってきたので、本番でもこういうのがやりたかった。そこは満足です」と語っていました。
流れを掴みかけたところで珍走選手の三倍満ツモを浴び、「良くて平和(ピンフ)くらいだろうと油断していたら、最後の最後で痛いところを突かれました」と苦笑い。それでも3回戦ではトップを獲得して意地を見せ、最後まで逆転条件を追い続けました。「次の西場でリベンジします。またこの場に戻ってきます」と、再挑戦を宣言していました。

3位はtansita選手。大学で先輩に誘われて本格的に打ち始め、雀荘とネットの両方を経験してきました。試合前のインタビューでは「リーチ大好き」ではあるものの果敢に攻撃型で行きたいと決意を露わにしていました。決勝進出が決まってからは周囲の強豪に教えを請いながら準備を進めてきたといいます。その一方で意気込みが「優勝を目指して頑張りつつ、村上プロに怒られないような麻雀ができれば」だったことから、対局前からスタジオの笑いを誘っていました。
蓋を開けてみれば、村上プロは「なんだ、あんなにビビっていたのに全然言うことないじゃん」という評が飛び出しました。特に絶賛されたのが東3局、一索(イーソウ)と一筒(イーピン)どちらのペンチャンを残すかという細かい比較。「三筒(サンピン)がわずかに良さそうだと思った。一筒を早めに切っている人がいたので、本当にそれだけ」という理由でペン三筒を残し、まさにその牌を引き入れて一発ツモを決めています。
2・3回戦はなかなか手が入らず苦しい展開が続き、総合3位という結果に。表彰式では村上プロから「両面で跳満以上のテンパイなら降りるのをやめよう。リーチは怖くない。自分の両面テンパイの方が偉いので、それを貫けばもっと強くなる」という実戦的なアドバイスが贈られました。
大会を締めくくるにあたり、千羽黒乃さんは「今日優勝した人はもちろんおめでとうございます。そして負けた人も、来年やもっと先に、あの時あそこで負けたから今の自分があるんだと思えるようになることがきっとある」と語りかけました。綱川プロも「本来、僕たち麻雀プロは何も残すことができなかった。こうして下の世代とつながって何かを残せるのは、この上なく光栄なことです」と、学生麻雀の広がりについて語り、決勝を締めくくりました。
「第7期 学生雀魂杯 南場」は、若き雀士たちが頂点を争う決戦の場であると同時に、至るところで「人との繋がり」を意識させられる大会となりました。
U-12部門では、「これまで同年代で麻雀の話ができる友だちがいなかったけれど、今回他の参加者とIDを交換し、交流できるようになりました」という保護者の方からの心温まるエピソードも聞かれました。
U-18部門に出場した唯一の中学生・ひろとk選手は、高校生である西脇吐息選手とkonro_85選手に囲まれ、「最初は上手く話せないのではないか」と不安を抱えていたそうです。しかし、年上の2人から積極的に話しかけられたことで徐々に緊張がほぐれていったと語ってくれました。実はその西脇吐息選手自身も、元々はコミュニケーションツールの一つとして麻雀を始めていたというのも、非常に興味深い巡り合わせです。
またU-25部門でも、控室で一緒にU-18の対局を観戦しながら語り合い、対局後のインタビュー前には3人揃って試合の振り返りを行っていたとのこと。レポーターの梶プロが伝える配信外でのそんな様子からも、大会という短い期間で選手同士の仲が深く結びついたことがうかがえます。
本大会に限らず、出場時をきっかけに出会った選手たちが、その後もSNSなどを通じて様々なコミュニケーションを取り続けている姿はたびたび見られます。
配信中に村上プロが「僕は51歳ですけど、麻雀は自分の年上でも年下でも対等に遊べることがいいところ。一生続けてほしい」と語っていた通り、世代を超えて楽しめるのが麻雀の最大の魅力です。梶プロの言葉を借りるなら、麻雀はまさに世代を繋ぐ「共通言語」と言えるでしょう。
次回、「学生雀魂杯」第7期西場は、8月から10月にかけて開催予定です。近日中にエントリー募集が開始されますので、全国の学生雀士の皆さんはぜひご参加ください!

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